「ちっ・・・」 リュウイは、光の街道の一角で舌打ちをした。 「どうなってんだ・・・? なんで、反応が・・・!?」 近づけば近づくほど、場所が特定できなくなってきた。 反応が鈍っているのではない、範囲が広がっているような感覚なのだ。 「くそ・・・こりゃ自分の感覚だけじゃダメだな。魔探石でもあれば・・・」 そう言うと、ふぅ、と、諦めたように息を吐く。 「いや、無意味か。俺自身が、一番反応しちまうもんな」 自嘲気味に呟く。 とにかく、一人で動くには限界があるようだった。 「夜中に起こすと、ガルバスがまた騒ぎそうで嫌なんだがなぁ・・・」 ぼやきながら、それでも、今夜の捜索を打ち切る事にした。 ヴィクト達と共に行動するのであれば、自分一人の時とは勝手が違う。 彼らは(異種族もいたりはするが)『人間』だ。 そして、恐らく、この反応は吸血鬼のものだろう。 それも、ノーライフキングに近い血統の、強力な反応だ。 人間を連れて、夜、吸血鬼と対峙するという事は、そのまま、彼らを危険に晒す度合いが急激に増す事になる。 ぎりっ、と、音を立ててリュウイの奥歯が噛み合わされる。 反応が消えたわけではないのだ。 今このとき、誰かが、犠牲になっているのかもしれない・・・その想いが、奥歯を噛む力をいっそう強くさせる。 「くそ・・・なんなんだ、この反応はっ!!」 苛立たしげにもう一度繰り返し・・・肩を落とすと、リュウイは街道で一番高そうな宿屋を探し始めた。 今のガルバスがあのパーティーに居る限り、高い方から訪ねて行ったほうが、早く彼らを見つけられるのは間違いのないことだった。 アロワードは、夜露に湿った土の上に座り込んで、自らが積み上げた石積みを、ぼんやりと見つめていた。 街道から、トーランガ側に少し外れた森の中。 アザリーの記憶から、自分に関するものを全て消した後、彼はあてもなく外に出て・・・気が付くと、ここに来ていた。 カリッサの墓。 今は、何も考えたくはなかった。 ただ、こうして、カリッサの墓を、見つめていたかった。 夜が明けたら、トーランガに登るつもりでいる。 そして、忌まわしきこの力を、捨てようと思っている。 それなのに、彼の脳裏では、アザリーの言葉がリフレインしていた。 『あの人・・・カリッサさんを忘れろって言ってるんじゃないの。むしろ逆よ。彼女を忘れないために。彼女を守れなかったことを、忘れないために』 アザリーは、力を捨てるなと、アロワードに言った。 カリッサを忘れる事は、強制されてもできそうにない。 それでも、力を捨ててはいけないのだろうか? 何も考えたくはないのに、グルグルとその事が頭を回り続けている。 「ねぇ、カリッサ・・・君なら、どう答えてくれる・・・?」 ぼそりと、アロワードは呟いた。 月に照らされた石積みから、答えは返ってこない・・・ 立て、という男の言葉に、逆らうはずもなくフランは立ち上がった。 体中がダルく、足は完全に笑っている。 しかし、立たなくてはいけなかった。 下腹でうねりを伴っている、この熱い感覚を、男にどうにかしてもらいたかった。 (だめ・・・狂いそう・・・) 口元から、涎が顎に伝わっているのが分かる。しかし、そんな事を気に止めていられるほどの余裕が、今のフランにはなかった。 フラフラと、熱病に浮かされている様に彼女の身体がぐらつく。 いや・・・ 熱病を患っているのは確かだ。 精神をも蝕む、淫らな熱病に。 「くくっ・・・」 楽しそうに、男が嘲う。 「いやいや・・・うん、いいな、お前。 その貌もいいぞ・・・ 次にどう変わるのか・・・楽しみだ・・・くくっ・・・」 本当に楽しそうに、男が呟く。 今のフランには、その意味を図る事さえ出来なかった。 「あぁ・・・早く・・・お願い・・・」 身体の中にある熱いうねりが、少しづつその勢いを衰えさせていくのを感じる。 それが、たまらなく辛い。 自然に消えていくのが耐えられない。 爆発させたいのだ。 「よしよし・・・可愛い奴隷の頼みだ・・・」 含んだ物言いで、男が手を伸ばしてくる。 その手が、自分にゆっくり近づいてくるのが、もどかしい。 (早く・・・早く・・・くるっ!) 待ちわびた瞬間を、歓喜の表情で迎え入れる。 手が、熱く潤んだ秘苑に伸びていき・・・つぷり、と、沈んだ。 「あふっ・・・・はぁぁぁっ!!!」 そこから、脳天に突き抜ける快感が疾る。 静まろうとしていたうねりが、再び荒れ狂い始める。 少しだけ・・・ほんの少しだけ、「考える」事が出来始めていたフランの理性が、また消し飛んだ。 「うん・・・いい感じだな・・・」 指先から伝わる、ぬめり、そして温度。 男は、それを確かめてから、また美貌を悪意に歪ませる。 これから起こる事が楽しみで仕方がない。 いつだって、その瞬間が愉しみで「狩り」をしているのだ。 後ろに控えている魔術師も、良かった。 そして、いま自分の指に翻弄されているこの少女は、どうなるのだろうか。 ゾクゾクする。 早く見てみたい。 「よし・・・」 急く気持ちを抑えながら、指を引き抜く。 「あ・・・あ・・・」 少女の、名残惜しそうな声が、男をなおも楽しくさせる。 「今から、もっと良くしてやる・・・くくくっ・・・」 「は、はい・・・お願い・・・」 縋る様な瞳で見つめてくる少女の顔が、たまらない。 そして、この表情が、この後、劇的に変化するであろう事が、楽しみで仕方がなかった。 「さぁ、行くぞ・・・」 立ったまま、少女の腰を掴んで引き寄せる。 それだけで、 「うぁっ・・・」 びくっ、と、少女の身体が震えた。 男のそれは、期待と、先ほどの少女の口淫でいきり立っている。 「入るところをよく見ていろ」 「は、はい・・・」 ほんの数十分前、恐怖の瞳でその様子を見ていた少女は、いま、期待に満ちた瞳でそれを見つめる。 先端をあてがい・・・そして、ずぶり、と沈める。 「くぅぅっ!」 その瞬間に、少女の首がのけぞる。 「くくく・・・うん、いいぞ・・・熱くて、いい感じでヌルついている。 さっきは全然ダメだったのにな。 うん、まだ狭い・・・これはいいぞ」 言いながら、奥までぐいぐいと押し付ける。 「くっ・・・っはぁっ!」 まだ痛みも当然残っているだろう。 だがそれでも、少女は恍惚としていた。 「ふん・・・こいつはとんだ淫乱だな・・・ さっきまで処女だったくせに、涎垂らしてよがってやがる」 「あぁ、あぁぁぁ・・・」 魔眼の事は棚に上げて、嘲る。 (ふん・・・ただイカせるだけってのはつまらんな) だが、少女の身体が思った以上に良い味だった事で、満足する事にした。 どうせなら、盛大に感じさせてやろう。 その方が、後の楽しみが増すというものだ・・・ 男は、改めてニヤリと笑うと、勢いよく抽送を開始した。 「ひぁっ! あぁっ! ひ、あああ、ああぁ、ぁ、ぁぁ、ぁっ!!」 突き込む度、引き抜く度、少女が叫ぶ。 さっきは擦れて痛いだけだった膣の中が、にゅるにゅると男に絡みつき、離さぬ様に縮まる。 「気持ちいいのか?」 悪意に満ちた含みを湛え、聞く。 この過程が大事なのだ。 「はい、きもっ、あぁぁ、きもち、いいいぃいいぃ! ですっ! ふうぅぅっ!!!」 「そうか・・・気持ちいいか・・・くくくっ・・・ ならば、もっとして欲しいか?」 重ねて、聞く。 「あぁ、はい、もっと、もっとぉっ!!」 (くははっ! 言いやがった!) 少女が男の玩具に堕ちたことを、改めて確認する。 (よし・・・イカせてやるか・・・) 内心の暗い喜びを隠しもせず、男はギラギラと赤い瞳を光らせ、口元を歪ませた。 これからが一番楽しいのだ。 「それ、イケ!」 ばちっ!と、肉どおしがぶつかる音を立てて、男は少女の最奥まで貫いた。 「ひぐっ・・・・・・・・・・・!!」 少女は、声も上げられず、男にしがみついて、がくがくと痙攣をした。 男にとってのゲームが、今やっと、本当に始まったのだ・・・ |